流星群


「まいったな。流れ星を見ていたらモンスターなんて」


 飛空艇の上でモンスターを発見する二人の青年。赤く燃えるような輝きを放つ大剣を背負った金髪の青年は、まるで危機感のないゆるい口調でそう言った。


「レイン、集中しろ! 油断してると飛空艇を落とされるぞ!」


 そう言ってもう一人の青年が、蒼く美しく輝く刀身を抜くと、さっと身構えた。


「......なんだか妙だ」

「ああ。本来、小型のモンスターは飛空艇を恐れて近付かないはずなのに」


 あっという間に難なくモンスターを蹴散らす二人。だが、本来現れるはずのない飛行中での襲撃に、戸惑いの色を隠せなかった。


「全てのモンスターを片付けたか......」


 そう言って黒髪の青年が刀を鞘におさめると、どこからともなくか細い声が聞こえてきた。


「......お願い」

「ん?」


 金髪の青年、レインはその声に気がついた。


「......助け......て......」

「ここは空の上だぞ。なんで女の子の声が?」


 レイン達が違和感を感じてあたりを見回すと突然、少女を内包したクリスタルが空中に現れた。


「クリスタル!?」

「......助け......て......。......お願いし......ます......。土の神殿に......早く......急いで......。クリスタルが......砕かれてしまいます。......救えるのは......あなただけ......。このままでは......世界は......滅び......」


 途切れ途切れではあったが、その声の主は確かにクリスタルの中の少女のようだった。必死にすがるような声でそこまで言うと、ふっと跡形もなく消えてしまった。


「......今のは......幻か?」


 黒髪の青年は、目の前で起きた不可解な現象が理解できなかった。しかし、一方のレインは違った。何の迷いもなく黙って甲板を歩き始めた。


「おい! 待て、レイン! まさか、土の神殿に行くつもりか?」

「あんな必死に頼まれたら断るわけにはいかないだろ」


 困惑する黒髪の青年に対して、レインは大きくガッツポーズをして見せる。そして、わかってるだろ、とでも言わんばかりにはっきりとよく通る声で、


「グランシェルトの騎士として」


 と言い放った。黒髪の青年は、ふうっと大きくため息をつくと、レインの側に寄った。


「やれやれ。昔から変わらないな。お前の性格は」

「話が早くて助かるぜ、ラスウェル」


 諦め半分のラスウェルの肩を叩き、二人は飛空艇の内部へと向かった。


「兵員各位に告ぐ! これより土の神殿に向かう!」


 ラスウェルは兵士達に向けて、そう言って指示を出した。


「みんな、悪いけどよろしく頼むぜ!」


 よく訓練されているのか、はたまたまだ若い二人だが大きな信頼があるのか。兵士達は微塵の躊躇もなく、それぞれ自分の持ち場につくと、飛空艇を急ぎ目的地へと向かわせた。




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