母の居場所


 岩場に作られた町、ナシャトに到着したレイン達。激しく轟く雷鳴が名物となっている町だが、観光に来たわけではない。


「さあ、エマちゃんのお母さんを探そうか」

「う、うん」


 レインはそう言ってエマの方を見ると、当の彼女はなんだか乗り気ではなさそうな雰囲気だった。すると、町の入口で話しこんでいた研究員らしき格好をした女性がびっくりした様子でエマに近づいてきた。


「エマちゃん? どうしてここに......」

「あっ......」


 どうやらエマを知っている様子だったが、その女性に話しかけられたエマはもじもじとし始めた。


「あなたがエマちゃんのお母さんですか?」


 レインがそう訊ねると、その女性は小さく首を横に振って答えた。


「いいえ。私はエマちゃんの母親と一緒に働いていた者です。あなたがたは?」

「私たちはエマちゃんの付き添いです」

「エマの母親がいる場所まで案内してくれないか?」


 フィーナとラスウェルが続けざまにそう言うと、研究員の女性はなんだか悲し気な表情でエマを見て言った。


「......エマちゃん。この人たちには話してないの?」


 エマは黙り込み、暗い表情のままうつむいた。


「エマ、どういうことだ?」


 ラスウェルがそう言ってエマに問い詰めると、女性研究員が割って入るように答えた。


「エマちゃんの母親は、研究中、ある『事件』に遭いました。そのせいで半年前に亡くなっています」


 すると突然、エマは何も言わず町の外に向かって走り出した。


「エマちゃん!?」

「追いかけるぞ」


 何が起こったのかさっぱりわからないフィーナだったが、ラスウェルにそう言われ、走り出すレインと一緒にエマの走り去った方へと向かった。



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