クリスタルの少女
「ようやくリディラについたな」
オードル港経由で遠回りをして、港町リディラに着いた一向。レインはそう言うとラスウェルと向き合った。
「大港グランポートまでは歩きになるな。準備は万端にしておけよ。途中で砂漠を渡ることになるからな」
ラスウェルがそう言うと、レインはあからさまに嫌そうな表情を浮かべて言った。
「砂漠かぁ。きつそうだなぁ。迂回して別のルートにしようぜ」
「そんな顔をするな。あの砂漠には貴重な陽炎花が咲いている」
ラスウェルがそう言うと、フィーナが不思議そうな顔をして言った。
「陽炎花? それっておいしいの?」
「食べ物ではない。7色の花びらが幾重にも重なっているめずらしい花だ。その花の蜜に優れた回復効果があるのだ。それを入手することができれば、俺たちの旅も楽になるだろう」
やれやれ、と思いながらも親切に一から十まで説明をしてやるラスウェル。しかし、話し終わるかどうかのところで、フィーナは突然町の中に向かって走って行ってしまった。
「まぁ、とりあえず、水と食料を調達しとくか」
レインがそう言ってフィーナの方を振り向くと、ついさっきまでそこいたはずだったのに忽然と姿を消していることに気がついた。
「......あれ? フィーナはどこに行った?」
すると、町の中から住人らしき女性が近寄っくると、きょろきょろとしているレイン達に言った。
「あんたたち、あの娘の知り合いかい? あの娘ならチョコボを追って、町の外へとスタスタ行ってしまったよ。最近はこの辺も物騒だからね。早く追いかけてあげなさい」
「ラスウェル、追いかけるぞ!」
レインがそう言って走り出し、ラスウェルも教えてくれた町の女性に軽く会釈をすると、急いでフィーナを追いかけて町の外へと向かった。